駒井めいの詰将棋ラビリンス

☗ バーチャル詰将棋作家・駒井めいの詰将棋 ☖

☗ VTuber創作詰将棋展示会 自作解説 ☖

バーチャル詰将棋作家の駒井めいです✨

VTuber創作詰将棋展示会に投稿した詰将棋を解説します😊

 

駒井めい作 VTuber創作詰将棋展示会 2021年3月13日

5手詰

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VTuber創作詰将棋展示会|駒井めい|note

 

詰将棋の引用は自由ですが、全日本詰将棋連盟の指針を守っていただくようお願いします🙇

http://tsumepara.com/contents/6info/quotation.htm

 

 解答解説はこちら👇

 

 

 

 

 

■ 作意手順

(A)25桂、(イ)15桂、(B)26桂、(ロ)同桂、13桂成

迄5手。

 

■ 変化および紛れ手順

(イ)15歩は13桂成迄。

(ロ)23玉は34馬迄。

(A)26桂は同桂、25桂、18桂成で逃れ。

(B)13桂成は22香が28王を間接的に睨んでいるためできない。

 

■ 狙い

ピン/アンピンをベースにした全着手桂跳ねが狙いです。

 

■ 創作過程

ここでは創作の過程を話していきたいと思います。

創作の出発点は下図の3手詰です。

 

24桂、14合、12桂成 迄3手。

 

玉方22歩を香車に変更して27~29のどこかに攻方王を配置すれば、初手24桂をピン(pin)できると思い付きました(下図)。

※ピン:元々はチェス用語。駒が動けずに釘付けにされた状態を指す。

ピン (チェス) - Wikipedia

 

 

あとはピンを解消する、つまりアンピン(unpin)する機構を上手く盛り込めれば完成します。

そもそもピン(絶対ピン)の仕組みですが、

攻方線駒(飛角香)-玉方駒-玉方玉

 あるいは

玉方線駒(飛角香)-攻方駒-攻方王

 といった3駒が直線かつ連続的に並ぶことで生じます。

上図では、

玉方22香-攻方24桂-攻方27王

が該当し、攻方24桂が玉方22香によってピンされているという構図になっています。

玉方22香が攻方27王を間接的に睨んでいて攻方24桂は動けないということです。

アンピンするためにはこの3駒の関係性が崩れればいいわけです。

今回は下図のように玉方・攻方に桂馬を配置し、3手目25桂に同桂とする手順を入れて解決しました。

 

24桂、14合、25桂、同桂、13桂成 迄5手。

 

攻方24桂と攻方27王の間に別の駒が挟まれば、攻方24桂のピンが解消されるという仕組みです。

「全着手桂跳ね」が実現できる図を探していたという事情もあり、ここはすんなりと決まりました。

ちなみに、このテーマに取り組んだのは、第б回裏短編コンクール・keima82作に刺激されて「攻方・受方の両方でやってみよう」と思ったのがきっかけです。

第б回裏短コン#1「I'm the last」|kisy|note

 

話を戻します。

上図だと2手目の合駒が限定されていません。

玉方22香から21香・22桂と配置を変更して、初手24桂に14桂と移動合が生じるようにしました。

 

24桂、14桂、25桂、同桂、13桂成 迄5手?

 

この「攻方駒をピンするための移動合」は先例がある機構です。

無料で閲覧可能な作品に限定すれば、例えば第5回裏短編コンクール・ほっと作があります(6手目)。

くぼの詰将棋 第5回裏短コン #4 「移り気eyes」

「逆王手をするための移動合」と意味付けを変えてみると、第8回詰将棋解答選手権チャンピオン戦・三角淳作のような表現の仕方もあります(2手目)。

詰将棋解答選手権(第8回・2011年)

とにかくこれで「全着手桂跳ね」が実現する目処が立ちました。

 

まだ完成ではありません。

上図では3手目25桂に22玉と逃げる手が変長になっています。

(22玉に33馬、31玉、32馬迄7手駒余り。)

この変長は玉方31歩を追加で配置すれば簡単に消せます(下図)。

これで22玉には33馬迄5手駒余りとなって割り切れます。

 

24桂、14桂、25桂、同桂、13桂成 迄5手。

 

狙いは実現できたので、ここから推敲に入っていきます。

初手から25桂、同桂、24桂と手順前後すると17桂成または17桂不成で詰まないという紛れ手順も本作の重要な要素の一つです。

配置全体を一段平行移動させれば、作意手順に影響を与えることなく、紛れ手順の最終手が桂成で限定されます(下図)。

 

25桂、15桂、26桂、同桂、13桂成 迄5手。

 

細かい変更のようですが、狙いに関わる部分なので重要です。

ここから逆算して手数を延ばすことも可能です。

しかし、「全着手桂跳ね」の狙いが崩れてしまうので、これを完成図としました。