☗ スキマde詰将棋#22 自作解説 ☖
バーチャル詰将棋作家の駒井めいです✨
詰将棋VTuber・天月春霞さんのYouTubeチャンネルに投稿した詰将棋を解説します😊
駒井めい作 スキマde詰将棋#22 2021年2月1日
3手詰
※詰将棋の引用は自由ですが、全日本詰将棋連盟の指針を守っていただくようお願いします🙇
http://tsumepara.com/contents/6info/quotation.htm
解答解説はこちら👇
(A)56角、(イ)84馬、33桂成
迄3手。
(イ)43玉は44飛迄。
(A)63角成は54金以下逃れ。
作品の狙いなどの詳しい解説は上記の動画を見てください。
ここでは創作の経緯を話していきたいと思います。
1.投稿の決意
詰将棋VTuber・天月春霞さんのYouTubeチャンネルでゲスト出題作品を募集しているのを見かけました。
※現在も受け付けているかどうかは、天月さんの最新投稿動画などで確認してください。
私はすぐに「投稿しよう」と決断しました。
自分自身の宣伝という意味も若干ありましたが、純粋に面白そうだったので投稿しました。
不純な動機で作る詰将棋ほど面白くないものはないので、私はそういうのは絶対にやりません。
詰将棋創作はあくまで趣味なので、趣味なら趣味らしくやるべきです。
投稿作の条件は3~7手詰なので、この時点で私は「3手詰でいこう」と即決しました。
詰将棋専門誌で発表するのとは違い、”解いてみよう”と思わせるところがYouTubeやSNSなどで詰将棋を発表する場合のスタートだと思っています。
「良い作品ならどこで発表しても誰かが解いてくれるはず」なんてのは、はっきり言ってあまりにも傲慢な考えです。
YouTubeやSNSなどで詰将棋を発表するというのは、例えるなら”ストリートライブ”に近いのではないでしょうか。
2.テーマ決め
とは言え、3手詰で詰将棋マニアでも喜びそうな新作となると相当ハードルが高いです。
作例が複数あって詰将棋マニアは満足しないけど、見慣れていない人にとってはそこそこ面白いテーマを選ぶことにしました。
それが本作の”バッテリーの組み換え”です。
組み換える機構としてフロントピース(本作では攻方45桂)に紐を付けるという意味付け(本作では初手56角)にすれば、比較的簡単に実現できます。
フロントピースを作意手順中に配置する(例えば”x手目45桂”が入るように作る)のが表現としてはスマートなのですが、創作難易度が一気に上がりますし、そもそも3手で収まらなくなります。
フロントピース・リアピース共に作意手順中に設置するような”フロント-リア型”のバッテリー組み換えについては、下記のリンクが参考になります。
3.どう面白くしていくか
一方で、フロントピースに紐を付ける手を主眼にする場合、不利感の欠片もなく手がめちゃめちゃ見えやすくなるという難点があります。
玉に取られそうな駒に紐を付ける手なわけですから、至極当然の話です。
しかし、私は「単純な構造で作意を実現する」 と最初から決めていました。
「自分にも詰将棋が作れそう」と少しでも思ってほしいからです。
私より作るのが上手い人はいくらでもいるので、中途半端に自分の創作技術を披露したところで、インターネット上では差別化できないというのも理由の一つです。
”ストリートライブ”をやったところで、そもそも注目してもらえなきゃ意味ないのです。
さて、創作に話を戻すと、解答者に少しくらいは迷ってもらう工夫が必要でしょう。
フロントピースに紐を付けるのを目的とする候補手を2つ以上にすることで、一応の解決を試みました。
まぁ本質的な解決にはなっていませんが。
本作では初手56角の作意に対して、紛れとして初手63角成という選択肢を与えました。
4.作品として仕上げる
初手63角成という紛れは本作においてそれなりに重要な要素なので、配置が多少不格好になってでも手順をなるべく限定させたいと考えました。
それが玉方35飛と飛車を”売り切れ”にする配置です。
これで初手63角成に対する54合は金で限定されます。
作り方として上手くはないですが、技術的にはこれが一番明快です。
余詰も消しているので、見た目以上には効率の良い配置です。
そもそも新規性が低い作り方をしているだけに、仕上げるべきところは最低限仕上げないと、いよいよ作品としての価値はなくなります。
誤解のないように最後に述べておきますが、解答者に媚びた作品ではダメです。
解答者を意識することと、解答者に媚びることを混同してはいけないと思います。
自分の作品が自分の作品でなくなったら表現家としてお終いです。